頚部痛(首の痛み)とは?

頚部痛とは、後頭部から肩の上あたりまでに生じる痛み・張り・しびれの総称です。多くは筋肉疲労で自然に軽快しますが、重大疾患の前触れとなる場合もあるため、原因を見極めることが大切です。


 

よく見られる 5 つの原因

原因カテゴリ典型例症状の特徴キーワード
筋・筋膜性スマホ首・寝違え重だるさ、動かすと痛む筋緊張性頚部痛
椎間関節性加齢変性・姿勢不良振り返りや上向きで増悪ファセット症候群
椎間板性頚椎椎間板ヘルニア片側肩〜腕への放散痛神経根障害
姿勢関連長時間デスクワーク午後に悪化デスクワーカー首痛
心理的要因ストレス・睡眠不足頭痛や顎関節痛を併発心身症タイプ

 

覚えておきたい「レッドフラッグ」

次のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 突然の激しい首の痛み(外傷がないのにバットで殴られたような痛み)
  • 手足の力が入らない・しびれが急に悪化
  • 発熱・嘔吐・意識障害
  • 夜間痛が強く、安静でも悪化する
  • がん既往や体重減少が続いている

これらは感染症や腫瘍、脳血管障害の可能性がある危険サインです。


 

重大な鑑別疾患を整理

区分疾患見分けるポイント
神経・血管系椎骨動脈解離首の激痛+後頭部拍動性頭痛、めまい・視覚異常を伴うことがあります。
くも膜下出血突然の雷鳴頭痛、嘔吐・意識障害を伴う場合があります。
末梢神経後頭神経痛電撃痛が後頭部〜耳後ろに数秒走り、圧痛点を押すと再現します。
炎症・感染髄膜炎高熱・項部硬直・光過敏を伴う首痛です。
腫瘍パンコースト腫瘍肩から小指側の痛みやしびれ、喫煙歴が手掛かりです。
骨・外傷頚椎骨折高エネルギー外傷後の激痛・可動域制限が特徴です。
血管炎側頭動脈炎50 歳以上でこめかみ拍動痛+首痛があり、赤沈高値となります。

 

診断の流れ

  1. 問診で発症状況や増悪因子を詳しく確認します。
  2. 理学所見として可動域と神経学的検査を行います。
  3. 画像検査
    • X 線:骨の配列や骨折を確認
    • MRI:椎間板や神経根の圧迫を評価
    • MRA/CTA:椎骨動脈解離や動脈瘤を評価
  4. 血液検査で炎症反応・自己抗体・腫瘍マーカーを確認します。
  5. ブロック診断として後頭神経ブロックなどを行い、痛みの部位を特定することがあります。

 

治療とフォローアップ

保存療法(約 90 % で有効)

アプローチ具体例目的
薬物療法NSAIDs・筋弛緩薬・プレガバリン痛みと筋緊張を軽減します。
理学療法温熱・超音波・牽引血流を改善し、硬くなった筋を緩めます。
運動療法頭頚部安定化エクササイズ再発予防の核心です。
注射療法星状神経節ブロック・後頭神経ブロック速効性が期待できます。

 

手術・血管内治療が検討される例

適応代表術式
椎骨動脈解離で脳梗塞リスクが高いコイル塞栓術・ステント留置術
頚椎椎間板ヘルニアで進行性筋力低下前方除圧固定術
頚髄症で歩行障害が進行頚椎椎弓形成術

 

再発を防ぐセルフケア 5 箇条

  1. 30 分ごとに姿勢をリセットしましょう(顎を軽く引き、肩甲骨を寄せる)。
  2. モニターは目線と同じ高さに設定してください。
  3. 自分に合った枕の高さで睡眠環境を整えましょう。
  4. 肩甲骨エクササイズを週 2〜3 回は行ってください。
  5. ストレス管理(深呼吸・マインドフルネス)で筋緊張を予防しましょう。

 

よくある質問(Q&A)

Q. 椎骨動脈解離は若い人でも起こりますか?

ースポーツや軽い首の外傷を契機に、20〜40 代でも発症することがあります。首の激痛やめまいがあれば早めに MRI/MRA を受けてください。

Q.後頭神経痛と片頭痛はどう違いますか?

ー後頭神経痛は数秒〜数十秒の電撃痛が走り、圧痛点を押すと再現しやすいのが特徴です。片頭痛は拍動性で 30 分以上続き、光や音に敏感になります。

Q.デスクワーク中の首の痛みを最速で軽減する方法はありますか?

ー1 時間ごとに「顎引き+肩甲骨寄せ」を 10 回行い、首周囲の血流を回復させると痛みが軽減しやすいです。温めるホットパックを併用するとさらに効果的です。


 

まとめ

  • 頚部痛の 約 7 割は筋・筋膜性ですが、椎骨動脈解離や後頭神経痛などの重大疾患が隠れている場合があります。
  • 突然の激痛・神経脱力・発熱があれば、直ちに医療機関を受診してください。
  • 保存療法で改善しない場合やレッドフラッグがある場合は MRI / MRA を検討しましょう。
  • 姿勢改善と定期的な運動が 再発予防 のカギです。

医療に関する注意
本記事は一般情報の提供を目的としています。症状が続く場合は必ず専門医の診察をお受けください。


 

参考文献

  1. 日本整形外科学会. 頚椎症 – 患者向けパンフレット. 2008.
  2. 日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2021〔改訂2023〕. 2023.
  3. 日本神経学会・日本頭痛学会. 頭痛の診療ガイドライン 2021. 2021.
  4. 日本ペインクリニック学会. 顔面・頭部の疾患・痛み(後頭神経痛). 2017.

 

まとめ

  • 外反母趾は 靴の工夫と保存療法 で痛みを抑え、進行を遅らせることが可能です。
  • バニオンの赤みや腫れは圧迫のサイン。幅広い靴に替え、装具を併用しましょう。
  • 日常生活に支障が出る場合は手術を検討しますが、術式は変形の程度や生活スタイルで選択が変わります。
  • 疑問や痛みが続くときは整形外科専門医へ早めに相談してください。

整形外科専門医・医学博士 佐々木颯太

    投稿者 ssksut92

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